つきたてのおもちは幼稚園の思い出

お正月といえばお餅。

今年も我が家でお雑煮を食べたし、きな粉もちに関しては好きなので普段からちょくちょく食べたりしている。

 

ただ、つきたてのお餅は何十年前に食べたのが最後だったか・・・。あのつきたての美味しさは今でも舌が覚えているのだから、よほど感動したんだろうなぁと思う。

 

物心ついてから最初に食べたつきたてお餅は確か幼稚園での餅つき大会だ。重くて一人では持てない杵を先生も一緒に支えながら一人ずつペッタンペッタンとついていって、先生達が最後仕上げてくれる。

 

(今でもだが)食いしん坊だった当時は「つくのは任せるから早く食べさせてくれ」なんて生意気なことを考えていた気がする。それにみんなの前に出るのが緊張して恥ずかしかったので駆り出されるのはやめて欲しかった。

今でも張り切って「はい!私がやる!」なんて言えない。私はやっぱり食べる専門なのだ←

 

餅つき大会では、そうして出来上がったお餅を仮想通貨を支払うことで好きな味付けのものを貰えた。たしか海苔とお醤油、きな粉、納豆、おろし醤油あたりが用意されていた記憶がある。

 

私はきな粉は大好きだったがお醤油は好きでも嫌いでもなく、先生に「きな粉の他はどれにするの?」と聞かれたのだが優柔不断過ぎて固まってしまった。

するとその先生は結構せっかちなおばあちゃんで「じゃあ納豆にしなさい」と言って私のお弁当箱にポンと入れてくれた。

 

しかし当の私はギョッとした。

納豆!?私の中では選択肢になかったし、食べたこともない。本当に美味しいの!?

と頭の中で大混乱状態になった。

でも仮想通貨はそれで使い切ってしまったので、少々落胆しながら友達と縁側に座った。

 

そしてカメラマンがパシャパシャと撮ってくれている中で、私は早速納豆餅をかじってみた。

 

すると・・・

 

うぉおおおーーーーーーーー!!!?!?

 

と頭の中で声があがった。

 

ものすごく美味しいんですけどこれ。納豆なのに!いや、納豆自体は嫌いじゃないけどお餅と合うなんて思いもよらず。なにこれ!?美味!

などと、当時4歳の私には想像できなかった衝撃的な美味しさだったのだ。

 

ただ、それ以降家で作っても何か違う。お餅と納豆が別物って感じで、うまく融合しないのだ。当時は幼稚園じゃないとあの美味しいお餅は食べられないのか・・・と思い込んでいたが、多分つきたてのもっちりした感じと細かい納豆だからこその旨さだったのかもしれない。

 

だが卒園以降は餅つきなんて家ではやらないし、たまに出かけ先の餅つき大会に行った時に磯辺餅みたいなのを購入することはあったものの、納豆とつきたてお餅のコンビはお目にかかることもなかった。

食べたけりゃ自分で作れ、ということだろう。

 

とはいえ今では全自動餅つき機が売っているから、きっと結局は自分でペッタンペッタンついて作ることは無さそうだ。本格的に杵と臼を買ってきても重労働なので1回くらいしか使わないだろうし、それ以外の用途としてはクールポ◯の真似をするくらいしかない。なのでもしつきたてが食べたいなら全自動餅つき機の方を買うと思う。

 

しかしキッチンにそんな余計な家電が増えるのは困るし、そもそもそれだって置く場所は無い。全自動だとしても正月しか使わないだろうし、年中使って食べていたらブクブク太ってしまう。家電でさえそうなのだから、杵と臼なんて購入した暁には部屋の真ん中にオブジェとして置いておくしかないだろう。

 

つまりあの美味しさをもう一度味わうのはなかなかに困難なことなのだ。それに今年はコロナウイルスが流行中ということで、人が集まる餅つき大会自体難しいだろう。

 

それから、流石に最近では庭で餅をつく習慣が残っているお宅をあまり見ないし、近所のお家の方に「お前らも食うかー?」と呼んでもらえることも無い。というかもう子供じゃないんだからそんなの期待するなよ、とツッコまれそうだ。でも今でも呼ばれりゃ「わーい!」と行ってしまいそうだ。

 

こんな風にあの美味しさを思い出すたびに、幼稚園の餅つき大会にタイムスリップしてもう一度味わいたいなぁなんて思うのだった。

 

 

 

作成者 父と姉と私がお世話になったおばあちゃん先生を大学生の頃に見かけた時、園長先生としてご健在だったのが衝撃的だったあかね

 

90歳を超えて尚元気に園児達を叱っているのを見た時はとても懐かしくなったものだ。