私の家には何よりも位の高いお方がいる。
パソコン様だ。
この方のご機嫌を損ねようものなら大事なデータが全部飛んでいってしまうだろうし、二度と作業させていただけないだろう。
なのでいつも埃を払い、データの整理をし、ご機嫌を伺いつつ使用させていただいているのだ。
ということになっているのも、電化製品は気分屋だからである。
あまりぞんざいに扱うと「もう許さん」とばかりに急に電源が切れたりするのだ。
その中でも特に気を遣わなければいけないのがパソコン・・・いや、パソコン様なのである。
さて、そんなヒエラルキーができあがった時の話だ。
とある日に私がパソコン様での作業の息抜きに部屋の掃除をしていた時。
ルーターの辺りをきれいにしたくて、一度何も考えずにそのコンセントを引っこ抜いてしまった。
すると、当たり前だがネット接続が一度切れてしまったのだ。
少し機械音痴な私はそれに気付かず、掃除を終えてパソコンの方へ戻ってきた。
「あれー?切れてるなぁ」とすぐ再接続したのだが、この後悲劇が起きるとはこの時は知らなかったのだ。
作業再開後、今度はひどい眠気に襲われた。
私は眠気には勝てないタイプだ。
いや、タイプ云々ではなく、突如眠くなって速攻で寝てしまう。
のび太くんのように「さて寝ようかな」と言って寝るのではない。
起きている状態から急激に脳が回転を止め、惰性で回っているだけの状態からあっという間に機能停止する。
そういうわけで寝てしまったのだ。
保存ボタンを押す直前で。
本当は30分程度の仮眠に留めるつもりだったのに3時間も過ぎた頃、ようやく目が覚めた。
「大変だ早く続きをやらなきゃ!」
と画面を見てとりあえず保存ボタンを押し、次の画面に移った時
「???」
ネット接続が消えた。
おかしいなぁと思って同じページを開いたのだが・・・
叫んだ。
ぬぁああぁあ〜〜〜〜!!!!!
ハリーポッターのヴォルデモート卿みたいな声が出た。
なんてことだ。
保存ボタンを押したことが無かったことになっている。
編集前のまっさらな状態だ。
寝る直前だか寝ている時は頭の中で起きている時の復習をしているらしいので、直前に作成した内容を覚えていてもいいのだが・・・
もう、なんっっにも覚えていない。
ぐーすか寝たことで綺麗サッパリ忘れた。
もうそこからは「えぇえ〜本当に?」とか「いや、どこかに保存されてたり」などとブツブツ言いながら無駄な希望を抱いてあれこれしてみたが、無論意味はなかった。
一度ネット接続が切れてしまうとその後は不安定になるらしい。
その後も何度も落ちた。
もう勘弁しておくれと何度思ったことだろう。
こうして、パソコン様に首を垂れつつ作業させていただくというヒエラルキーが出来上がったのである。
今度からコンセントはいきなり引っこ抜かないようにする。
数時間の作業が無駄になるのはかなりの痛手だ。
その後の彼(パソコン)の「あーまたやる気なくなっちゃったなー」と言わんばかりに接続不良になるのももう手に負えない。
作成者 時計のアラームを30分後にセットしてお腹の上に置いていたのにちっとも起きなかった3時間寝太郎あかね