タイトルにある「ドスコイ」はお相撲さんの張り手のように"相手を押し除ける"といった動作全般を私が勝手にそう呼んでいる言葉のことである。
さて、先日とあるネットの記事にて『ストレスを抱えた中年男性が気弱そうな女性を狙って故意に肩をぶつけてくる』といった内容を拝見した。
あーものすっっごくわかる
わかるわー
こちらに全く関係の無い恨み辛みを全てぶつける勢いでギャン!!って猛進してくる中年男性いるわー
これほど共感できるということは・・・言わずもがなだろう。
私がそんな人に遭遇したことは数知れず。
ちなみにドスコイするのは中年男性だけではない。
女性にも幾度となく標的にされている。
なんでなんだろう?
特に迷惑をかけた覚えもなく目が合ったりもしていないのに、何故か標的にされてしまうのだ。
ちなみにマウントもとられやすい。
マウントも、ドスコイと同じく弱い者をターゲットにしがちだ。
自分を上に見せて相手を下に見たいという欲求があるのである。
そういう面倒なタイプは非常に厄介だ。
あとカラスにもしょっちゅう威嚇されるし、突然上空から舞い降りて頭を鋭い爪で引っかかれたこともある。
まぁ兎にも角にも、私は相当弱く見えるということだ。
いや、相当なんてもんじゃない。
ここまで色んな人もしくは動物にターゲットにされるなんて、わたしゃのび太くんと同じ不幸な星の元に生まれたのかしら?と思わざるをえない。
というか、そんなに弱く見える(らしい)自分を側から見てみたいものだ。
どおりで昔ドッヂボールでは妙に序盤から集中砲火を浴びやすいと思った。
それでもってボールの方に顔を向けたら顔面にヒットするのである。
鈍臭いことこの上ない。
さて話が脱線したので戻そう。
昔ドスコイ中年男性に会った時のことを思い出したので思い出話をひとつ。
その日、私は少々混雑している駅中を歩いていた。
そして突然、鋭い視線を感じたのだ。
「これは・・・ドスコイだな。どこから来るのかしら?」
と私は周りを見渡した。
すると、人混みをかき分けて斜めにこちらへ移動している中年男性を見つけた。
「あ!あの人だ!」
私は男性からの襲撃に備える為に体勢を整え、わざと真っ直ぐ歩くように気を引き締めた。
その理由は、相手がロックオンしやすいようにだ。
もちろん全身で受け止める為ではない。
故意にぶつかろうとするとその直前に勢いをつけるのはわかっていたので、そこを狙ってサッとかわすのだ。
更に視線を別の方向に外しておき、向こうには「しめしめ、こっちに気付いていないな」などと思ってもらう。
そうして不意をついて避けられれば相手はよろけるだろう。
もしそれでゴロンなんて転ぶもんならこちらは大笑いだ!とちょいと意地の悪いことを考えた私は実行に移した。
姑息な手段である。
そしてその瞬間が訪れる。
向こうは腕をギュッと縮めて身を固くしている。
ぶつかる気満々だ!
そして私はすぐ側まで来た中年男性を・・・華麗に避けた。
そう、まるでお手本の如くサッと身を翻したのだ。
そのあとは予想通りのことが起きた。
中年男性はよろけて「ウホッ」などとゴリラ語で「くそっ」という意味らしき言葉を発している。
やったー!勝ったー!
・・・となるよね。
ええ、そりゃあ気が緩みますとも。
次の瞬間、私の目の前には柱が迫っていた。
鼻先数センチである。
先ほど言ったように、人は咄嗟の回避ができなかったりするものだ。
(人にもよるが)
さぁここまで言えば何が起きたか分かるだろう。
顔面強打!である。
中年男性のタックルを華麗に交わした女性はものの見事に柱に激突したのだ。
幸い鼻血は出なかったが、鼻の奥が燃え上がるくらい熱かった。
もう少しで吹き出るところだったに違いない。
とまぁ、こんな話である。
恥ずかしさのあまりもう思い出したくもないと思っていたが、今思い出したらちょいと笑えるようになったなーと思えるのだけは幸いである。
それにしても、あんなに準備万端で待ち構えていたのに別のところから奇襲(?)されるとは。
その時周りにいた人からはどう見えていたのだろうか。
よろける男性と女性。
一人は体勢を崩し、一人は顔面を抑えているのだ。
実は二人はぶつかっていないだなんて思ってもみないだろう。
さて、そんなドスコイしてくる人について少々疑問もある。
自分でぶつかりにいくとか、痛くないの?
ということだ。
まぁ正直なところ本人も無傷ではないだろう。
故意とはいえ、ぶつかったらそりゃその部分は痛む。
ただ、その痛みよりも「勝った!」というしょうもない事実に酔いしれて痛みに鈍感になっているんじゃなかろうか、と私は推測している。
でなきゃそんな痛いことなんてやりたかないはずだ。
自分からぶつかっておきながらもし青タンなんて作っていたらアホらしいよね。(こっそり)
そんなドスコイ行為は軽く見られがちだ。
「こんなことがあって・・・」と誰かに報告しても
「災難だったね」で終わってしまう。
しかし、場合によっては暴行や傷害として逮捕される。
とある海外の事例では、駅構内にある防犯カメラにその犯行の一部始終が映っていた。
男性が人混みをかき分けて女性に近づき、すれ違いざまに思いっきり肩を当てたのだ。
ぶつかられた女性はその場に転倒して後頭部を強打。
動けなくなった女性を見た男性は逃げていったがもちろん逃げきれるはずもなく。
後日無事に御用となった。
という事件があったそうだ。
ドスコイ系の人達はそこかしこにいる。
読ませていただいた記事では中年男性限定だったが、私の経験上、実際には若い女性〜中年女性もちらほらいるし老若男女問わずやっている。
もしターゲットにされた時は頑張って避けてほしい。
気配を察知したら十分に注意しなければならない。
なぜなら上記の事件のような大事にならないとは限らないのだ。
そしてあなたが華麗に避けて相手がゴロンと転がったとしても自業自得。
気にする必要はない。
ハイハイ、ドスコイドスコイ。と冷ややかな目を向けて去っていくに限る。
作成者 神出鬼没なドスコイにビクビクしながら人混みの多い駅を歩く不審者のあかね