若かりし頃に遭遇した痴漢

痴漢。

 

どの時代にもいるだろう。

無許可で他人の体を触ったりする変態である。

触られた方はそりゃあ許せない。

しかも「油断してるのが悪い」とか「ミニスカートを履いていたから」などと訳の分からない理屈で批判されることもしばしばある。

そんな風に痴漢を正当化したり、被害者に非があるかの如く批判されるのも痴漢被害の問題じゃないかと思う。

 

まぁ中には痴漢男を力づくで電車から引きずり下ろす猛者もいるし、しっかりガッツリ訴えて制裁を加える人もいる。

悪いことをすれば相応の目に合うのである。

結局犯罪は犯罪なのだ。

いくら被害者を悪く言ってみても、所詮は負け犬の遠吠えである。

 

さて、そんな痴漢被害であるが・・・例に漏れず私も何回か経験がある。

今回はその中で印象に残っている痴漢エピソードだ。

 

 

痴漢記録①「つり革に捕まって爆睡中」

大学生の時だったと思う。

今思えばものすっっごくダサい、ずんぐりむっくりなチェックの服を着て電車に乗っていた時のことだ。

サワサワ。

サワサワ。

おしりに違和感があって目が覚めた。

(あ、痴漢だな。)

寝ぼけてはいたが、瞬時に気づいた。

ふとガラス窓を見ると小さなじーさんが後ろにピッタリくっついて立っている。

(ちっさなじーさんだなぁ。)

サワサワ。

サワサワ。

サワサワサワ。

(・・・しつこい)

サワサワ。

サワサワ。

ワサワサワサ。

と、ここで私はブチ切れた。

「「「おい!こっちは眠いんだよぉおおお!!

じゃまするなぁぁあぁ!!」」」

しつこい痴漢じーさんに私は頭の中で怒鳴り散らした。

そう、頭の中でである。

声は一切出していない。

というのも私本体はなんと爆睡中

眠すぎてどうしても起きられず、つり革に捕まっているのが精一杯だったのだ。

すると突然電車が大きく揺れた。

夢現な私の体はもう電車に揺られるがまま。

つり革を軸にまさかの半回転。

ビックリしたのはじーさんだ。

全然反応がないから調子に乗っていたんだろう。

おとなしい女性だとでも思ったに違いない。

それがいきなり電車の揺れと共にくるりんぱ。

合いたくもない目と目ががっちゃんこ。

流石に起きた私がバッチリじーさんの目を捉えるとじーさんはビクッとたじろぎ、そのまま他の車両へ消えていった。

 

 

痴漢記録②ネメシス系痴漢

満員電車での通勤途中、背の高い大柄な男性が私の真後ろに立っていた。

190cmは悠に超えた大男だ。

電車が動き始めて数分後、その大男が急にクルッと振り向いたかと思うと・・・

いきなり手を胸元に突っ込んできた

(えーーー!?オイオイオオイ!!なんだ!?)

パニックになった私は咄嗟に胸元をギュッとおさえた。

それから大男との攻防戦が開始。

一生懸命手を突っ込もうとする大男と、服の上からギュウギュウ抑えて防御する私との戦いだ。

こっちは死ぬ気で隙間を無くそうとしているが、その大男は一切動じず。

めげずにグイグイくるので流石に恐ろしすぎて声も出なかった。

しかも電車の荷物棚辺りに頭がありラグビー体型の大男だ。

激昂して殴られたらひとたまりもない。

どうする!?どうする!?

 

私はチラリと次の駅名を確認した。

よし、ここで降りて他の線に乗り換えよう!

電車が駅に到着し、混雑している人々が塊のまま後車する流れに乗ってなんとか無事にホームへ降り立った。

あぁ、恐ろしかった。

私は安堵して別のホームへと足を運んだ。

しかし・・・

 

本当の恐怖はこれからだった。

 


ということで遠い昔に遭遇した痴漢の中で印象的だった二つを紹介してみた。

いかがだろうか?

性別関係なく痴漢の被害は誰でも起こりうることだ。

誠に遺憾である。

自分のおしりとかじゃ満足できないものか。

 

ちなみに最初の話だが、痴漢よりも爆睡して半回転した自分の方が印象的だったという話だ。

「そんなことある?」と思うかもしれないが、私は昔から眠気には勝てないのだ。

センター試験の最中でも、

ご飯を食べている時でも、

プールで泳いでいる時でもだ。

よく今まで事故が起こらなかったな、と思ったくらいである。

 

そして2つ目の方はタイトルを「ネメシス系痴漢」にしたが、理由は簡単。

乗り換えのホームで安堵する私の真後ろに奴が平然と立っていたからだ

私はそれまで冷や汗というものは腹痛くらいでしか感じたことがなかったが、生まれて初めて恐怖で冷や汗が出た。

奴は正気じゃない。

というか人間なのかどうかも疑わしいというほどだ。

そしてその後も私は必死で逃げた。

電車を乗り換え、ホームの端から端まで移動し、再び同じ線に乗り・・・

しかしそんな私の努力虚しく、奴は諦めずにずっっっと追いかけてきたのだ。

いや、本当にしつこかった。

「ネメシス」とはバイオハザードというゲームでしつこく追いかけてくる敵ゾンビのことだが、冬だったのでゴツい厚手のコートを着込み見上げるほど大きい大男はまさにネメシスそのもの。

この絶壁ゴリラ体型に何故か執着するネメシスを回避するべく逃げ回り、だいたい10・20分は追い回されただろう。

どうにか撒くためにドアが閉まる直前に電車に乗り込んだりもしたが、あろうことか片手で軽ーくドアを押さえてまた乗り込んでくるのだ。

・・・なんかもうあれは本当にネメシスだったのかもしれん。

警備員室に着くまで生きた心地がしなかった。

 

その後は仕事先に連絡するタイミングもなく無断遅刻をしてしまったのでションボリしながら報告がてら上司に泣きついたら

「ヒールで足に穴ぁ開けとけ!んなもん!」

と素敵なアドバイスをくださったので、次からはピンヒールを履いておこうと心に誓ったのであった。

ちなみに上司はかなりの美人な元ヤンだ(たぶん)

きっと彼女なら相手がネメシスだとしても勇敢に果敢に立ち向かって足にヒールで大穴開けそうである。

とはいえ、あんまり過激なことはお勧めできない。

なかには逆ギレして暴れ牛と化す痴漢もいるからだ。

きっと現行犯逮捕でないと捕まえられないし証拠が無いと立件できなかったりするのを良いことに調子に乗っているのである。

目撃情報があったり触ってきた手を掴むなどしないとなかなか捕まえにくいことはあるが、痴漢は許されざることである。

しっかりと制裁を加えて二度とおかしな気を起こさぬようにしたいものだ。

ということで、ネメシスの撃退法を知っている方は教えてほしい。

 

 

 

作成者 痴漢男を足払いして引き倒しホームへ引き摺り下ろして罵倒を浴びせ続けた伝説の先輩を思い出したあかね

 

目撃者曰く、痴漢男は泣いていたらしい。

握力50超えの自衛隊志望のムキムキ女性をターゲットにするなんて身の程知らずである。