皆さんはロープトゥと呼ばれるリフトをご存じだろうか。
スキー板やスノーボードを履いたまま、搬器に掴まったりあてがって山を登っていく簡易リフトである。
よく行くスキー場はいくつかあるがそこでは一度も見たことがなく、
私はその存在自体を知らなかった。
以前訪れた月山スキー場でそういうものがあると知り、初めて利用することとなったのだ。
他のスキー場がクローズしていく4月頃にようやくオープンし、なんと夏真っ盛りの7月頃まで滑ることができるという月山スキー場。
訪れるのはスキー歴が長くバリバリに滑れる人達ばかりなので、我々は皆さんの後に続いて乗り場まで向かうことにした。
着いて見てみると思った以上に簡単な作りで驚いた。
まずT字の搬器にまたがるようにして足で挟み、その少し手前を両手で掴む。
そしてそれを絶えずグルグルと回っているロープに引っかけ、滑って登るというなんとも面白そうなリフト。
(引っかけるのは難しそうなので係のおじさんにやってもらったが、慣れている人は自ら取り付けていた。)
皆スーッと簡単に登っていっていたので、
なんだ、簡単そうじゃん!
・・・と思っていたのだが。
侮っていたことを激しく後悔した。
まず、掴んだ途端グンッと引っ張られるのでしがみつく力が必要だ。
最初はあっという間に手足が搬器から離れて顔から崩れ落ちた。痛かった。
速さも関係しているだろうが、これは重さにもよるかもしれない。
体重が軽い人や力が強い人ならそこまで重くは感じないだろう。
だが1本の細い搬器で自分の全体重を支え、それらの負荷が掴んでいる腕やまたがっている足にかかるとなるとそりゃ重い。
それにバランスを取るのも難しい。
ふんばりきれなければつんのめってビターン!!
「はい、やり直しだから早くどいて~。」である。
途中で降車してしまったら後から来る人とぶつかってしまうので即離れなければならない。
こちらのスキー場に来ている人はほとんどが慣れている人ばかりだが、初めて来てしかも腕力や体幹に自信がない人はちょっと心配である。
できなきゃ歩いて登るしか無い。
歩いて登るとしてもこりゃまた大変だ。
私のように古いスキー板だと長さと重さがあるので、担いで移動するにも一苦労なのである。
どうにかしてできるようにならねばなるまい。
私は友人と「難しいねぇ」なんて言っていたのだが、その横をスッと通った小さな男の子が颯爽とロープトゥを乗りこなして登っていったのだ。
それを見て闘志が燃えてきた。
乗りたい。
滑りたくてきたはずなのに、もはや目的が変わった。
乗りたい!ロープトゥに!
何度目かのトライでようやく軌道に乗った。
シュルルルと滑りつつ板に雪が引っかからないよう気をつける。
あとちょっとで頂上だ!
そこで気づいた。
そういえば降りるときはどうするのだろうか。
必死過ぎて係のおじさんの説明を忘れてしまった。
下手したら滑車に巻き込まれて大惨事である。
ここまできて、というか絶対に怪我なんてしたくない。迷惑だし。
なんだっけ!?
なんて言ってたっけ・・・!?
そう焦っていたら、前の人の搬器がカシャンと音を立てて外れたのを見た。
なるほど、自動で外れるのだ。よかった。
もし外れなかったら手足を離してしまえば転んで降りられる。
それはだいぶ強引なやり方だが、身の安全が優先だ。
まぁそんなことしないでちゃんと説明を覚えていないといけないのだが。
※ロープトゥにも色々種類があるらしい。それぞれの注意点は各自しっかり確認しよう。
かくして私は頭頂に成功した。
実際月山の頂上はもっと上にあるが、リフトで来られるのはここまでだ。
さて当初の目的であるスキーをすることになったのだが、すぐに滑り下りるのはなんか勿体ない。
ここでは1日リフト券などはなく、乗るたびに1回ずつ料金を払うのだ。
バンバン滑って登って、というのは気が引けるというかお金が掛かる。
なので、この雄大な景色をじっくりと眺めて噛みしめながら滑るとしよう。
こうしてスキーを楽しんだわけだが、一番楽しかったのは・・・
そう、ロープトゥだ。
またやりたい。
なのでこれ以上体重を重くするわけにはいかなくなった。
体幹も鍛えねばならない。
それも全てロープトゥのためである。
しかし最近甘い物を食べないと死んでしまう病にかかっているのだ。
食べなきゃストレスが溜まる。
その分めちゃくちゃに運動しなければならない。困った。
次までになんとかせにゃならん。
作成者 せめてカロリーの低い物を選びたいが、コンビニスイーツの誘惑に負けそうになっているあかね