自動ドアってすごいなぁと初めて見た時は感動したものだ。
ドアが人を感知して勝手に開いたり閉じたりするなんて近未来的だ。
だが、こんなことになるとは思いもしなかった。
自動ドアに出会って初期の頃
沢山の人々が歩みを止めることなくスムーズに自動ドアをすり抜けて行く。
これなら大丈夫そうだ、と思った私が近づくにつれて閉まっていくドア。
たどり着いた頃にはピッタリと閉じた。
これは一体どうしたらいいのだろうか。
かくして私と自動ドアの戦いは始まったのだ。
疑惑
私は彼を目の前にして緊張していた。
彼らは私という存在を感知してくれないからだ。
顔がつくくらい目の前に立っても、近くでウロチョロしても開かない。
これはもはやわざとか?誰かがどこかで見て操作しているのだろうか。
とはいえ私に出来ることはさりげなくアプローチすることくらいである。
センサーなのか体重感知式なのか分からないので手を宙で振ったりドアに触ったり、どこにいれば気づいてくれるのかと探したり。
「さりげなく」とは言ったが側から見たら変なのは明白だ。
しかもそこまでしても開かない時は開かない。
そうなれば誰かの後に続いて入るしかない。誰も来なきゃ一生開かない。
タッチ式なのに気づかず狼狽えていた時もある。これも一生開かない。
悟り
今ではどこでも自動ドアだ。スーパーでも百貨店でも奴らが出入り口を封鎖している。
以前は裏口くらいは引き戸だったのに、もうそれすらも無い。
たまにちゃんと開いてもなぜかすぐ閉じようとする。
開くと見せかけて閉じるフェイントに遭ったこともある。
肩がぶつかったり擦れるのも何度目か分からない。もーいやだ。
私は強硬手段に出ることにした。
開かないなら開けりゃいいのだ。開いてくれない自動ドアが悪い。
ということでドアに手をつけてフンッと横に力を込めると、奴らは観念したように動き出す(こともある)
やった。私は勝ったのだ!
悪戯っ子
たぶんきっと、彼らには意思がある。通せんぼも彼らのイタズラだろう。
でなきゃ他の人は通すのに私だけ通さないなんておかしい。
普通であれば手をかけて押したり引いたりしなくとも開く、
人の手を煩わせない画期的な扉。
だが私にとっては手をかけたりむやみに足踏みをしなければ開かない、
手間のかかる面倒な扉なのだ。
なんなら無理やり開けようとしても開かないものもある。
もはや訳がわからん。
「扉のくせに開かないなんて生意気な!」などとジャイ〇ンになった気分で毒を吐いてみるが、何の意味も無い。
もしかしたら私にはステルス機能でもついているのかもしれない。
そうだとしたらくノ一にでもならない限り役に立たない力だが。
いじめられっ子
もしも自動ドアの前で困っている不審者がいたら先に通ってほしい。
その不審者はたぶん私だからだ。
ジャイ〇ンみたいに「開かなきゃぶん殴るぞ!」なんて言ったって自動ドアには通用しない。〇び太らしく困るしかないのだ。
白旗を挙げよう。
ちなみに、体重感知式の自動ドアは今はもうほとんど無いそうだ。
だが動きで察知してくれるかなーと思って今でも足踏みしている。
それに意味があるかどうかは私は知らない。
作成者 自動ドアがスムーズに開いたら歓喜するあかね