萌え袖勧められて試着したら7分袖になった話

昔々、萌え袖というものが流行っていた時代があった。

萌え袖とは袖から指先がちょん・・くらいしか出ていない状態で、あざとい可愛らしさを強調している着方である。

 

今はオーバーサイズが定着しているので「こいつ萌え袖だ!かわいこぶって!」なーんて言われないだろう。

大きめサイズを着たらそりゃ腕の長さだって足りなくなるから必然的に萌え袖の丈になるわけだ。

 

でも昔は自分を華奢に小さく見せたいが為に制服などの袖をビヨンビヨン引っ張り伸ばして「萌え袖にしたんじゃなくて伸びちゃっただけだよぉ〜」なんて言い訳する、袖口がみすぼらしい女子が沢山いたもんだ。

 

私も例によってもれなく萌え袖やりたい派だったのでビヨビヨ伸ばして歪んだ袖口に満足していた戯け者なのだが、その頃に起こった事件がきっかけで私は萌え袖から足を洗った。

 

まぁ、タイトル通りである。

 

萌え袖をうたった服が売っており、店員さんに「今流行りの萌え袖になれるんですよ!」とオススメされてノせられて試着に至ったのだ。

 

だが・・・鏡に映った自分がおかしい。

 

さっき店員さんは「萌え袖」って言ってたよね?

でも指先どころか手首まで露わになってるのは私の目がおかしいのかな?

それとも聞き間違いだったのかな?

と混乱した。

 

そんな私に店員さんは地獄の一声。

 

「ご試着いかがですかー?」

→訳:観念して出てこい。

 

そんなこと言われたら出るしかない。

私は聞き間違いの可能性が限りなく低いことを知っていたが、当時小心者すぎてイエスマンになっていたのでしぶしぶ試着室から出ることにした。

 

そのあとはお察しの通り。

肩ぱっつんぱっつんの7分丈女を見た店員さんは数秒固まったのち、萌え袖の「も」の字も発することなく褒めたたえてきた。

 

もちろん買わなかった。

 

 

 

作成者 足が短くて手が長いのでゴリラポーズがしっくりくるあかね